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moon【2】

【2】

と、まあ、そういう、オサレサブカル路線なゲームなワケなのです。
もし今のこの時代にmoonが新作として発売されていたら、
いかにもヴィレッジヴァンガードあたりが喜んで大量入荷しそうな、そんなゲーム。
(貶めてるわけじゃないですよ。)

肝心の内容としては、勇者に殺された罪の無いモンスターの「魂」に触れる
(ゲーム内ではソウルキャッチと呼ぶ)ことにより「ラブ」を集め、勇者の足跡を追う、というもの。
モンスターもその他の登場人物もそれぞれに、
ゲーム内の曜日や時間の流れに沿って、皆、行動している。
「ラブ」がまだ少ないうちは主人公がすぐに力尽きてしまうためにスタート地点の周辺しか
行動できないけど、集めた「ラブ」が徐々に増えると「ラブレベル」が上がり、
それに連れて長時間行動ができる(=遠出できる)ようになるという仕組み。

モンスターの魂は通常その屍骸の傍に佇んでいるが、ストーリーが進むに連れて
「早朝でないと出現しない」とか「魂の逃げ道を塞いでからキャッチ」
はたまた「望遠鏡を覗くと、怒った魂がこちらへやってくる」などの軽い謎解きが必要になり、
今まさに目の前にモンスターの屍骸が横たわっているのに、
なかなかソウルキャッチ出来ず、それがもどかしくも何故か心地よい。

ゲーム全体に漂う雰囲気…のどかだけどちよっとシュールな風景とか、
そういった演出が功を奏して謎解きを焦る気分にならない。
加えて、その主人公の歩く速度も、一歩一歩軽く踏みつけるように、ややゆっくりなので
「RPGはサクサク進めてサクッとクリア」なタイプの人間には合わないかも知れません。

だけど、願わくばそういうプレイスタイルの方々にも、
そこはどうか堪えてリタイアしないで欲しい。いや、堪えるというよりも、
ゲームの中とは言え「ゆっくりと歩く」ことの意味を咀嚼してみて欲しい、と思います。
淡い緑の草木とか、噴水の水音。
登場人物はひとクセもふたクセもあるヘンな奴らばかりだけど、
(現実世界の人間だって、ある程度深く知ろうとするとそんな奴らばかりだ、自分も含めて。)
そこには確かに「世界」みたいなものがあるから。
時間に追われず、ちょっと観光先で人助けでもしようかなぁ?
と、そんな気分でこのゲームと付き合ってみて下さい。


【3】へつづく

『moon』-1997年/アスキー/ラブデリック
by only_one_of_them | 2006-08-12 01:02 | ゲーム


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